霊峰富士第七箇度登拝修行⑥

     7月24日(水) 最終日

 

 

 

 

     深い深い霧。山頂を見上げようにも白い霧が覆っている。

     8合目を出発してからだいぶたつ。高山病か頭もクラクラ

     してきた。ここからさらに登ると思うと心が折れる。

     だめだ・・・限界だ・・・、ハッ 夢か~。

     深夜から登り始め、空気の薄さと冬のような寒さが体力

     を奪う。風も厳しい。山頂へと続くヘッドライトの光の行列

     が白い霧のなかに一筋の道しるべとなる。

     山頂まであと少し。

     勾配のきつい石段を登りきると開けた場所にでる。

     山頂は人で埋め尽くされていた。

     人々が「おめでとう」と互いの健闘を称えあう。

     やっと山頂だ。感動と達成感がじわじわと心に押し寄せて

     くる。

     あいにく天候は悪くご来光は拝めそうになかった。

     あたりに霧がたちこめる中、お鉢巡りに出発。

     目指す剣が峰は日本一高い3776m。油断大敵、山頂

     なのにまた登る。一度緩めてしまった心。足が重い。

     砂浜のような登り坂に足をとられながらも、やっとの

     思いで、日本一高い地上に立った。

     下界は霧で見えないが苦労して登った達成感だけで

     満足だった。     富士山頂奥宮を参拝後、すぐに下山となった。

     足を滑らせながらの下山は登山よりも負担が大きい。

     降りしきる雨の中、なんとか5合目まで下山した。

     帰りのバスの中、これまでの道中を思う。歩いて2日間

     かかった道のりもバスではたったの2時間。

     流れる景色を見ながら、丸太のような足をさする。

     道中を共にした皆さんと自分の足に「ありがとう」

     天狗の落とし文

             当たって くだけろ